ポンペイ国際空港拡張に伴うファーストフライト延期のお知らせ

皆様方におかれましては日頃より私どもミクロネシア連邦へ、変わらぬご厚意を賜り心より感謝申し上げます。

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七夕に降る雨を「催涙雨(さいるいう)」と言うそうですが、日本の皆様にとりまして今年は、三月の大地震に端を発し、悲しみ苦しみの多い年となりました。

大統領をはじめミクロネシア連邦の国民一人ひとりが、皆様方の深い悲しみとご苦労に、今も深く胸を痛めているところでございます。

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あまり知られておりませんが、長く親密な関係であった日本とミクロネシア連邦は、現在におきましても世界一日系人の多い国でございます。この国に多くの先祖や友人を持つ我々の家族や同僚たちは日々、日本からのニュースを息をひそめて見守ると同時に、皆様方が一刻も早く再起され、明るい未来へ歩み出される事を心より祈り続けております。

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このような状況下、本年夏に予定されておりました、ポンペイ国際空港拡張に伴う日本発記念直行チャーター便『ファーストセレモニアルフライト』も、延期をする事になりました事を、ここにご報告させていだだきます。

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近年の国際社会において、太平洋の真ん中という海洋的要所である事から、多様なステージでの人の往来が増加しているミクロネシア連邦ですが、それに反し日本からの来国者人口は年々減少しています。日本からまっすぐ飛べば5~6時間という距離にありながら、グアムなどを経由するしかない交通手段が往来にくさびを打ち、両国の関係が徐々に希薄になって来た事は、縁戚関係とも言える我々にとりまして寂しいばかりでございました。

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そのような折直行便発着を可能とするべく、日本のODAによってポンペイ空港滑走路拡張工事が決定した事は両国にとって、とても意義のあるものとなり、またミクロネシア連邦の国民には、大きな喜びを持って迎えられました。工事が着工して早3年、今年度予定していた完成が、心待ちにされておりました。そして『ファーストセレモニアルフライト』の実現を大統領の名の元、ジョンフリッツ駐日大使を中心に、国起こしを目的として発足したレインボーネシアプロジェクトの核と位置づけ、活動を続けて参りました。

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多くの皆様方のご支援ご協力を得ながらここまで歩んで来ました、この『ファーストセレモニアルフライト』が延期となった事は残念ですが、来年はちょうど日本とミクロネシア連邦の正式な国交樹立25周年目という年にあたり、歴史的にも素晴らしいこの期に、両国のさらなる発展と交流の波を広げるべく、また新たな構想にも想いを馳せ、発想の転換をする事に致しました。

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ミクロネシア連邦は美しい国です。

物質的には恵まれていませんが、多様な文化がちりばめられた600余りの島々を囲むのは、どこまでも美しい海、世界一の環礁、色とりどりに咲き乱れる花々や緑は、太平洋を渡る鳥たちの美しい鳴き声とともに風にそよいでいます。時折降る恵みの雨の後ろから、すっと出てはすぐ消える幾重にも掛かる虹は、時として月の夜空にまでミッドナイトレインボーとして現れ、人の心に静かに染み入ってまいります。そしてどの子も我が子と育て、笑顔に満ちた暖かい眼差しと笑い声があふれる国、それがミクロネシア連邦でございます。

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そんな国ミクロネシア連邦ですが、様々な国に支配され続けてきた歴史は複雑です。

そして戦後における米国信託統治という状況下、初代大統領トシオナカヤマ氏による1986年の無血独立宣言は、国際社会において驚きを持って迎えられました。それから3年目の1989年、日本政府による統治から44年目にあたるこの年に、日本との国交樹立という新たな友好関係へ踏み出した事は、世界の歴史に深く刻まれる出来事となりました。

来年はちょうどその年から数え四半世紀を迎えようとしております。

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これからの太平洋、引いては地球規模で国際関係をとらえるならば、ミクロネシア連邦と日本のみなさまとの交流が途切れる事無く、更なる友情を深めていく事に期待を込めて、この記念すべき国交樹立25周年目に、海を越えてやっていらっしゃる皆様方をお迎えする事を、モリ大統領以下心待ちにしているところでございます。

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長きに渡りミクロネシア連邦の友人でいて下さり、いつも応援して下さる日本の皆様の苦しみが一日も早く癒え、活力を取り戻されますよう、モリ大統領そしてジョンフリッツ大使以下、心よりお祈りしつつここにご報告させていただきます。

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